でも孤高のビルダーといえば、ギタービジネスの世界ではこの人JOE RIGGIOの右に出る人はいないのではないでしょうか。
JOE RIGGIO(ジョー・リジオ)。良質なギターを製作するビルダーの割には正直、なかなか知名度がございません。また、WEB上で検索しても数えるほどしか出てきませんし、評判もあまり聞きません。
それもそのはず、このブランドの年間生産本数たるや15本程度。マスプロダクトの国アメリカにおいてはにわかに信じがたいレベルでございます。一体何名のスタッフで製作しているのか、よくよく聞けば、なんと一人で最初から最後まで製作しているとのこと。市場でお目にかかる機会が少ないのも大いにうなづけます。
ジョーはフェンダーやギブソンなど、世界のトップレベルのブランドから絶対的な信頼を寄せられ、修理やメンテナンスなどを引き受け、自身のギタークラフトに関するスキルと経験を頂点まで突き詰めたのち、2000年にはアメリカ ワシントン州タコマにあるヴィンテージギターショップの一角でリペアショップを開業。認定リペアマンとして地元ミュージシャンから絶大な信頼を集めました。
やがてジョーは、数々のプレイヤーとビルダーとの密接なコミュニケーションこそが良質なカスタムギターを製作するスタート地点と位置づけ、マスプロダクションで製作される、名ばかりのカスタムギターとは一線を画す、ユーザーにとって夢のギターを目指し製作を始めました。使い手の理想とする細部へのコダワリや、ギターへの視点がビルダーに伝えられ、それをビルダーがカタチにしていく。その双方の想いがRiggioの崇高なクオリティを実現しているのです。
今回縁あって当店に入荷した二本はいずれもテレキャスター・スタイル。
ケースを開けた瞬間、正面に飛び込んでくるヴィジュアルは、一目でその良さを認識できるワンピース・スワンプ・アッシュ。
これだけでもクオリティの高さをアピールしておりますが、「どれどれ」と抱えてみたときの軽さ!シンラインかと思うほどの軽さは、わずかに2.97kg。
グリップ感もしっかりとした太目のグリップで、軽く弾きおろした時でさえ、ネックの鳴りも体感でき、ジョイントの精密さも手に取るようにわかります。
ピックアップはLOLLARの52。こちらのチョイスも絶妙でフェンダーよりもレンジが広い、ややフラット気味な特性をもつマイクが、ボディの隅々まで鳴り響く極上サウンドを、余すところなく拾いきっている印象です。
RIGGIO CUSTOM GUITARS
TANGO BG
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もう一本入荷したローズウッド指板のほうも秀逸。
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こちらももちろんワンピースでのスワンプ・アッシュ・ボディ。
ローズ指板とのコンビネーションは探してみると意外と見つけにくいもの。えも云われぬミドルレンジのコシの強さは、やはりボディとネックが鳴りきっている爽快感。ウデの立つギタリストに出会ったときは恐ろしいウェポンに変身することでしょう。
ここだけの話、このヘッドストックでの製造は今後できないかもしれないとのこと。今しかないのかも知れません。
- 2014.08.22 Friday