ではでは前回からの続きです。
いわゆる本来のアコギを拡声させるアイテムがハイランダーPU登場あたりから性能が飛躍的に向上し、それがタイミングとしてMTVアンプラグドブームの前後ではないか?と申し上げてこの間は終わりました。
それではその頃他にどのようなピックアップが登場したのかと申しますと、まずはフィッシュマンのアクティブピエゾタイプがあげられます。これはハイランダーと同様のアンダーサドル・ピエゾタイプのアクティブピックアップでアウトプットジャックの内側(ボディー内部)にプリアンプが内蔵されたもので、97年にはギブソンのアコエレニューモデルCLシリーズに装着されました。
ちなみに写真は最近のギルドですが、こちらにもフィッシュマンのアコースティック・マトリックスが搭載されております。
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そしてフィッシュマンと言えばレアアースというマグネットピックアップの登場もかなり衝撃的でしたね。マグネットPUなのにプリアンプ搭載で水銀電池で駆動する、しかも、アコギ独特の高域(チリチリ感)も出て、レンジが広くクリアーなわけです。こちらのPUも当店では随分お客様にオススメし、販売してまいりました。あのエリック御大も一時使用していたのでだいぶそれも影響したのでしょうが。
さて、それとだいたい時を同じくしてLRバッグスのアコースティックプリアンプDIが登場し人気を博すわけです。
どのような製品かと言えば、通常PAミキサーにアコギのライン信号を送る際はダイレクトボックスというものを使用し、信号のインピーダンスを変えるわけですが、そのダイレクトボックス(DI)にプリアンプ、つまりアコギ用のイコライザーやらハウリングを防止するためある周波数をカットする機能やらを付けたものですね。こちらの登場は革新的で当時の高性能ピックアップがより活かされました。
その後同じような製品が国内大手エフェクターブランドからも出ましたが、いまだにこのLRバッグス“PARA ACOUSTIC DI”は定番として人気があります。
LRバッグスもその成功に乗じてか?その後はピックアップ本体も販売、人気に繋がります。そんなピックアップの代表選手がエレメント・アクティブでしょうか?これはハイランダーより癖がなくナチュラルということで、愛好者も多く、後にギブソンのギターにも搭載されていくわけです。
またその後はLRバッグスもアクティブのマグネットPUを発売し、現在においてはピエゾとマグネットのミクスチャーやらピエゾとエアーマイクのミクスチャー(こちらはハイランダーが先行発売しましたね)、またはマグネットとエアーマイクのミクスチャーやらほんとに多種多様、現時点ではどのメーカーのどのピックアップも性能的には甲乙つけがたい、つまり好みで決める!といった状況になっております。
そこでっ、当店でご提案いたしますのがこれらのいわゆるメインストリームなブランドはひとまず置いておき、どこか特化したピックアップはないものかと考えていたところに思いついたのが以下の2機種でした。
1.MiSi acoustic trio
2.EMG ACS
ではこれらのピックアップの魅力からまずは入ります。
MiSi(マイサイ)に関してはピエゾタイプのPUですが、そのサウンドが特にナチュラルでクリアーであるのが魅力です。某K商会のSさんという伝説のリペアマンの折り紙つきなので、私の言うことに説得力がないと思われる方の為に一応申し上げておきます(笑)。
ただし、私の印象からするとフィンガー奏法に向いている気がいたします。フラットピックで派手にやると多少ブーミーと申しますか、若干腰がないかなと。つまり非常に繊細なサウンドのするピックアップでして、取付けも実は繊細なのです。ですのでこちらのPUに関しては現在メーカーにて取付けを行なっております。
あとMiSiの強力な魅力というのが、9V電池や水銀電池駆動でないことです。充電式なんですねー!専用のACアダプターで充電するのですが(ナナナント、60秒の充電で16時間使用可能!!)、これは電池代の節約には非常に良いです。
以上がこちらの魅力。他のどのピックアップより特化しているところです。
では次にEMG ACSです。こちら見た目サンライズみたいですが、ちょっと違いますね。サンライズはとても素晴らしいピックアップであり、現在もマグネットPUの金字塔として君臨していますが、サンライズの魅力を100%出すには専用のプリアンプが必要です。こちらと本体を同時に購入した場合、金額的には相当な額になってしまいます。ですので、どちらかと言えばプロユースなピックアップと言えますね。
で、EMG ACSに関してサンライズと似てるのは見た目だけなのですが、EMGというのはアクティブピックアップメーカーの大御所、ハシリのようなブランドでして、エレキギターはもとよりエレキベースのピックアップも様々なプレイヤーに評価されてきた老舗です。
なのでこちらのアコギ用マグネットPUももちろんアクティブで、EMGの音がします。フィッシュマンやLRバッグスがより生ギター的な音の拡声アプローチをしているとしたら、こちらは少し違って本来のEMG的(?)バタ臭さがありますね。これを独断と偏見で一言で言うならば、シングルノートのアプローチに非常に向いたピックアップと言えます。
よって使用しているミュージシャンもジャズフュージョン畑の方が若干多く感じるのは私だけでしょうか?つまり生ギターのサウンドの中でシングルノートでより立つ音を求めるのであれば一度お試し下さい。このサウンドに関しては当店店長が弾いている画像のサウンドをご参考いただければと思います。→コチラ
エフェクト乗りが非常に良いのも確認出来ますね。こちらもある意味で特化したピックアップだと言えるのではないでしょうか?
そんな感じでまるで対極的なふたつのピックアップをアンチメインストリームとして(別にアンチではありせんが、笑)オススメしているのはこのような理由からです。
さて、というわけで前回書かせていただいた
「では実際自分にはどんなピックアップが合うのか?」
「マグネットとピエゾではどちらが良いのか?」
ということですが、またまた長くなってしまいましたのでまたの機会に持ち越します…というのもまずいので(汗)、取り急ぎ簡単に申し上げますと、
出来る限り自分のギターに傷を付けたくない、あるいは生音を絶対に変えたくない方は間違いなくマグネットです。
あと、バンド(ドラムやベースがいる)の中で音を立たせたいという方はなるべく倍音の少ないたとえばオベーションの様にブリブリ原音が来るものが良いのですが、それではなんだかなあ〜の方にはやはりマグネット系はオススメかもしれません。なぜならばエレキのピックアップ方式と同じだからで原音が太いというのとアンプやエフェクターと相性が良いからです。ピエゾはどうしても振動を拾っている為倍音が多く、結果他のパートに消されてしまう傾向はあるかと。(ちなみにオベーションはピエゾですが、おそらくボディーの構造上倍音を少なくしている模様)
そして逆によりアコースティックなサウンドアンサンブルに於いて使用される方はマグネットでもピエゾでもどちらでも良いかと思いますが、ご自身のプレイスタイルは非常に大切です。
フィンガーか、フラットピックか、シングルノートを弾いた時に立たせたいか、邪魔でないバッキングサウンドを求めているのか、あるいはダイナミクス優先かなどなど、ご自身のプレイスタイルとピックアップとの相性、それらを複合的に考えた選択が重要になります。
今回私共はMiSiとEMGに限ってオススメしてまいりましたが、アコギのアコエレ化のご要請は随時受け付けております。是非ご来店、またお問い合わせいただきたく宜しくお願いいたします。
ではまたー!
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- 2012.02.25 Saturday