みなさんこんにちは。
お寒いですね。朝起きるのにも気合が必要な季節となりました。
現在宮地楽器神田店ではWINTER SALE真っ最中ですが、エレキギターの特価商品が数本入荷しましたので部屋にとじこもっていらっしゃるようでしたらリストもチェックしてみてくださいね。
さて、その中で気になる一本ERICのストラト。
ERIC CLAPTON STRATOCASTER。
おっと、これも入荷しているのですが、今日のお話はこちら。
ERIC JOHNSON STRATOCASTER。
エリック・ジョンソンといえば、奏法にこだわり、トーンにこだわり、ルックスに多少こだわる(笑)、ミュージシャンズ・ミュージシャン。一般の音楽ファンにとっては良質なBGM製造者としての認識(失礼!)ぐらいしかないかも知れませんが、ギター愛好家には神的な存在。本人の使っているストラトは外見はいかにも普通のヴィンテージものなのに、ライブアルバムを聴いてもギターはツヤも色気もあるサウンド。とてもストラトとは思えないサウンドは謎だらけ。ますますミステリアスな存在です。
専門誌のインタビューを読んだりすると、本人は究極のトーンを実現するためにコマを一個だけ変更していたり、ワイヤリングにこだわったり、この人は友達と飲みに行ったり、お買いものを楽しんだりすることなく、日常生活のすべての時間をストラトに費やしているのか?
といったストラト求道者のイメージをも持ってしまうエリック・ジョンソン。その名前がついたストラトはいったいどんなもの?
発売されたのはずいぶん前になりますのでWEB上には様々な情報がコロがっていますが、実際に弾いたレビューが少ないようですので、今回入荷を機会に弾いてみます。
外観はほぼモデルとなった57年製ストラトキャスターそのもの。ウラを見ても独自のネックセット・プレートがついている他はふつうのストラトと特に大きな違いは感じません。
実際に触ってみます。
ネック・グリップはやや太め。フラットな指板はフェンダーのストラトにはあまりないタイプです。この時点でヴィンテージ・ライクなグリップがお好みの方は違いをお分かりになると思いますが、決して演奏しにくいレベルではなく、慣れれば扱いやすいのではないでしょうか。素直な印象です。
そんな印象を持ちながら
ジャーン、と弾き下ろす。
「んっ?」
もう一度弾き下ろす。
「おっ?」
ボディ側のみならず、ネックを掴んでいる「左手」に振動を感じる、ギター全体が鳴るタイプ。
ネックがこれほど鳴るフェンダーは珍しく、何か秘密があるのではないかとヘッドをスペックを調べれば、なんと柾目ネック。
良質なネックが造れるといわれる柾目ネック、しかしながらそれをすると非効率であるがために製作費がかかりすぎる、経理部門泣かせのクオーター・ソーン。ソリにも強い柾目。それだけでもありがたい、力強いサウンドでございます。
そんな柾目に感心しながらヘッド部をまざまざと見ると、薄めのヘッドストックにはストリングガイドがなく、かわりに高さの違うポストを配したペグ。
テンションバランスを考えたものと思われ、なるほど、エリック・ジョンソン。
ネックとヘッドがこんな工夫で全体の鳴りがよくなっているので、ギター全体のバランスが素晴らしい。
さて、電気系統はオリジナル・エリック・ジョンソン・ピックアップ。
フェンダーでもピックアップに注文をつけたシグネイチャーは多くなく、こんなところもエリック・ジョンソン。
全体的にはミドルレンジに音を集めた印象で、ともするとキンキン言ってしまうフェンダーらしさはあまりなく、輪郭がはっきりしつつもクリーンにヌケていきます。気が付けばトーン・コントロールもフロントとリアのもの。
もののインタビューには「リアのトーンを絞り、アンプのトレブルを上げるとストラトでもミッドが出てくるんだよ」と言っていたものですが、やっとうなづくことができました。
5WAYスイッチをリアからフロントにスイッチングしていっても、比較的シームレスに配分されたサウンドアレンジ。このギターのもつレンジをHIからLOWにきれいに5分割したようなイメージ。欲しい音はスイッチングだけで選んでも探し当てることができそうです。
恥ずかしながらワタクシ、エリック・ジョンソンのモデルを実際手にとって弾いたのは初めてでしたが、なかなかのデキでございます。ライン生産である、こちらのERIC JOHNSON STRATOCASTER。どれほどの個体差があるかわかりませんがこちらのギターはよく鳴る「当たりのギター」です。
フラットな指板が問題ない方、今すぐに手にしてみてください。
ではまた。
by MODA
- 2011.12.17 Saturday