年末年始とバタバタしていたのが落ち着いたと思ったら、今度はワタクシの周りがインフルエンザでバタバタと。
皆様今年はずいぶん流行っていますので気をつけてくださいね。
さて、本日ご紹介いたしますのは
1964年製FENDER MUSTANG。
レオ・フェンダー氏が健康上の理由からCBSにFENDERを売却したのが1965年1月。MUSTANGの誕生は1964年の夏前。それを考えるとFENDERギターの開発者としてレオが最後に創ったのがMUSTANGと云われています。
60年代のFENDERは今でこそ高額で取引されていますが、当時はBEATLESに代表されるようにイギリス系のミュージシャンが使用しているハコものが大流行、ジミ・ヘンドリックスの出現まではソリッドギターは見向きもされないという、今では信じられない時代でした。
あのストラトキャスターでさえも当時はフラッグシップ・モデルではなく、何とかミュージシャンの需要を満たそうと毎年のように仕様変更がされておりました。
さてMUSTANGもそんな中、中級クラスの需要を満たそうと独自に開発されたモデルでした。
木部の構成、特にネックは上位機種であるSTRATOCASTER,JAZZMASTER,JAGUARなどと同じくメイプルにローズウッド指板を貼り、ボディはコストを考えてかポプラなどが使用されました。
しかしネックは当初入手が比較的簡単だったハカランダが使用されており、こちらの64年製も一目見てそれとわかる黒々としたハカランダが使用されています。
こちらのMUSTANGはネックデイトが64年の8月となっており、ヘッドのロゴもMUSTANG最初期のものです。
フェンダー・ギターのヘッドのパテントナンバーを見てゆくと、PAT.PEND(特許出願中)とあるものが翌年のモデルには特許番号が記され記載が増えてゆく。そんなところを見るのも楽しいものです。(パテントナンバーはオフセット・コンターの特許番号だったり、イナーシャー・ブロックの番号だったりとMUSTANGと関係ないものばかりですが)
さて、一方ハードウェアは中級モデルでありながら流用パーツがほとんどなく独自なものが多いです。
まず、フロント/リアで位相が異なる新開発のシングルコイルを2つ搭載。スイッチによりフェイズ・イン/アウトを選択でき、それぞれ独立したシングルコイルとして使うのはもちろん、フロントとリアでの擬似ハムバッキング(フェイズ・イン)、またはフェイズ・アウトでのサウンドなど、実用的にアレンジされたレイアウトとなっています。
さらに特筆すべきはダイナミック・ヴィブラート。
フェンダーの製品の中で、いや、あらゆる世界中のギターの中でもこれほど軽いタッチと大幅な音程変化をもたらすユニットはないと言ってもよい位の機構。
当時のレオ・フェンダーの力の入れ様を感じずにはいられません。その後ミュージックマン、G&Lと渡り歩いたレオですが発表するギターがいずれもMUSTANGのDNAを感じさせるシェイプになっている気がします。
FENDER 60Sのそれまでと、その後の方向性の端境期。そんな1964年製のMUSTANG。
あなたもそのオーナーとなってフェンダーの歴史を味わってみませんか?
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- 2011.01.22 Saturday