皆さんこんにちは!
さて、今回はヴィンテージ・ワウ、しかもファズワウについて触れてみます。
ヴィンテージ・ワウほどある意味メチャクチャなものはないのですが、何がメチャクチャかと言えば、OEM生産物が非常に多い。イタリアで作っていたと思ったら、実はアメリカ製であったり、VOXかと思ったらJENであったり、JENかと思ったらトーマス・オルガン製であったり、掴みどころがない(笑)。ついでにヴィンテージ・ワウを専門的に扱った書籍といいますか、資料がないので、結局国内外のコレクターマニアの方の情報に頼るほか無い。
たとえば実際にあった話ですが、オリジナル・クライドマッコイを何台か当店でも扱っておりますが、生産時期により使用されているパーツが違います。これは交換されているものか否か、正直わからないのです。ある時、当店のクライドを見にいらっしゃったお客様が中身を確認された際、これは両方ともオリジルですよと言って下さりました(その時は2台在庫があった)。お客様曰く、私が持っているクライドにもこの部品が付いてますと。
で、お訊きしましたところなんとその方、30台近くもクライドを所持してらっしゃるとのこと。1年に1台入荷すれば良い方な当店では絶対にわかるはずのない情報もその方はお持ちでした。
何事も日々精進なわけです(汗)。
というわけで、前置きが長くなりましたがでは実際に見ていきましょう。
右の2台ですが、左がVOX右がJENですね。しかしながら、実はこの2台非常に共通点が多いです。
と言いますか、多少の部品を抜かしてほぼ同じです。
では裏側を見てみましょう。
アレ??って感じがしませんか?
メーカーのロゴと型番の違いこそあれ、同じレイアウト表示ですね。
さらによく見てみると…。
モデルナンバーがVOXは9-3700、JENは9-3701…。
続き番号ではないかっ???
しかも「THOMUS ORGAN CO.SEPULVEDA,CALIFORNIA PATENTED」との文字が共通です。
ってことはトーマスのファズワウということになりますが(苦笑)。
気を取り直して中身です。
…はっきり言って
全く同じぢゃんっ!!
TDKのインダクターが付いておりますので、70年代であることには違いないのですが…。
さてもっと見てみましょう。
何やら2個のトリマーがありますね(画面中央上と真ん中右側の黒くて中が白くなっている丸い部品)。
これの上側がDISTORTION VOLUME、下がDISTORTION SUSTAIN TIMEとの表示がバックパネルに書いてありました。
この時代に中のトリマーを動かして細かい音質調整をするというのは、かなり先進的だったのでは??
本体上にある大きなSWを下側に踏み込むとファズがオンになります。
ものすごく大げさな機械部品となってますが、2010年現在から見ると新鮮と申しますか、ムダカッコイイです。
ちなみにワウは通常と同じ、ペダルを踏み込んでのON/OFFとなります(独立でのON/OFF可)。
それにしてもゴージャス&ハイグレード!!!(笑)
コチラのファズワウですが、ステレオアウトです。
ですが、80年代以降の若干出音を遅らせてコーラス的なステレオ効果を得るといった、コジャレタ・エフェクトを期待してはいけません(笑)。
また本来このステレオ機能はパンニング・アウトだったらしいのですが(詳細不明)、現在は2台ともモノラル、つまり
男のユニゾン・ステレオアウトになっています。
最後にサウンドのインプレッションですが、両方ともまさに同じサウンドでした。違いは個体差程度のものです。あとはルックスですね(笑)。
VOX V-846がアメリカで作られる様になった頃のTDKインダクター特有の少し荒削りなワウサウンドです。あまりハイにピークがない、VOX KING WAHも同じ感じの音がしますが、KING WAHもたしかトーマス製でした。
続いてファズに関しましては本体でかなり歪みます(トーンベンダー系で歪みの粒は粗いです)。ギター側のVOLコントロールにも近年モノよりは敏感ではありますが、ヴィンテージファズ独特の倍音を期待すると若干???でしょうか。ファズワウで使用の場合はファズにコンプレッションがかかる感じでミッドからローエンドに多少の物足りなさを感じますが、ファズのみプレーンで使用すると近年モノにはない野性味たっぷりのヴィンテージ・ファズサウンドが楽しめます。
というわけで、かなりマニアックなエフェクターとなりますファズワウの第1回目でした。
ではではまた。
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- 2010.09.28 Tuesday