この記事は2008.07.20 Sundayに書かれたものです。
少しご無沙汰していたコチラのコーナーですが、続きです。
前回まではエフェクター単体で歪みを作り出す場合に、使う用途によるエフェクターの音色選択の重要性をお話したつもりでおります。それと若干かぶる部分もあるのですが、次は何処にも置いてあるようなアンプを使う場合の、プリアンプ代わりに歪み系エフェクターを使うポイントをお話したいと思います。その前にこれは決して歪み系エフェクターがプリアンプの代わりになるという意味ではなく、何処にでもあるアンプを使った場合のプリアンプの補助として歪み系エフェクターを使う、あるいは完全にアンプのプリアンプとして、プリアンプと呼ばれる歪み系エフェクターを使うという意味です。
では一般的にギタープリアンプとは何を指すかと申し上げますと、音色及び音質を作る機器となるかと思います。ではパワーアンプはどうかと申しますと、それらを増幅してスピーカーに信号を送る機器を指すのですが、では、プリアンプで作った歪みと歪み系エフェクターで作った歪みの違いとは何でしょうか??
そこでご想像頂きたいのですが、たとえばBOSS DS-1しか通らない信号をそのままギターアンプのパワーアンプ・イン(プリアンプをバイパスして直接パワーアンプに信号を送る)に突っ込んだとします。DS-1にはVOLUME、TONE、DIST(GAIN)を調整するツマミが付いています。しかしこれだけではギターのピックアップの信号をラインレベルまである程度持ち上げることは出来ても細かい音色設定がまったく出来なかったり、十分な歪みが得られなかったり、しかもノイズだらけと感じるはずです。それはDS-1自体がギターアンプのプリアンプ部に突っ込んで初めてその能力が発揮されるように設計されているのであり(DS-1自体で本来の音質を決めるものではない)、これは明らかに歪み系エフェクターと言えます。
このことからも解かる様に、逆に言えばプリアンプとは
1.TEREBLE、MID、BASS等の細かい音色設定が可能な上、トータル(マスター)ボリューム、歪み量が設定出来る。
2.アンプのパワーアンプ・インあるいは卓に直に信号を送ることを予め考えて設計されている為、ローノイズ。
3.もちろん、(プリアンプの)回路を通っただけでその機種独特の色、艶が出る。
ではないでしょうか??(ご存知の方には話が遠回しですみません。汗)つまり、歪みだけ考えれば歪み系エフェクターでプリアンプの役割を果たせそうなものですが、ギターの音色、音質全体を作るという意味ではやはり違う機器と認識した方がよい気がします。と申しますのもその1からずっと触れてきた様に、エレキギターはアンプと込みでひとつの楽器と捉えた場合、プリアンプの位置はかなり重要だからです。
そんなわけで、話を少し変えて、80年代に流行したラック式のエフェクターの中にはプログラムタイプのプリアンプも結構ありました。この考え方は現在もマルチエフェクターに活かされており、プリアンプの後にラック式の空間系エフェクターを繋げて(ループさせて)VHT等のパワーアンプに突っ込むのはある意味当時のステイタスでもありましたが、現在そのようなシステムを使われている方は非常に少なくなっているのも事実です。理由は90年代から出始めたオールハンドワイヤリングのブティックアンプの流行が関係しているのもあるのでしょうが(つまりアンプはアンプとしてそのまま使用する)、これだけの大きなシステムですと持ち運びに不便だったり、またエフェクターの世界でもビンテージが台頭、定着したのが理由かもしれません。
いずれにしても、やはりいつでも何処でも自分の音をキープして出したいというのはギタリストの夢ですし、マイアンプを持っていたとしても、何らかの事情でやむを得ず持参できない状況というのはよくお客様から相談を受けます。
何処にでもある、たとえばJC、TWIN REVERB、MARSHALL JCMでストレスなく普段のプレイが出来たならこれ以上よいことはありません。特にほとんどの人がおっしゃるのがJCで良い音が出せないものか…。これは本当によく話題に出ます。前回のエフェクター単体で歪みを作り出すと話が重なる部分もありますが、いわゆるプリアンプと言われる歪み系エフェクター、当店で人気のBADCAT 2TONEをJCのパワーアンプ・インに繋げた場合、そうでない場合を例に挙げて、次回はそのあたりについてお話したいと思います。続く…。
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- 2008.07.20 Sunday