みなさんこんにちは。
毎回イギリス人のように天気・陽気の話から入りますが、今日は少し暑いです。
先週の肌寒さから一転、また夏日になるということで体調をくずさぬように気をつけましょう。 しかし暑いと言いましても、湿度は夏のように高いわけでもなく、カラっとした晴れ間は確実に秋のもの。さあ、芸術の秋、音楽の秋。楽器愛好家にとって最高の季節です。元気出していきましょう。
今日ご紹介いたしますのはGUILD。
もともと"GUILD"とは手工業職人の組合を意味する言葉を語源とするだけあり、クオリティ重視のギターを作り続けているのですが、どうなのでしょうか。見てゆきたいと思います。
GUILDというブランドはその名前こそプレイヤーに浸透していますし、内外の有名ミュージシャンに使われることでTVなどでの露出も多いのですが、実際に手にとって弾いたことがない方が多いのではないでしょうか。知名度という点だけ言えばGIBSON、MARTINと比較して生産量も少なく、また正直申し上げて「1がギブソン,2にマーチン。3,4、がなくて5にギルド」といった感がぬぐえない(すみません、私感です)ギルドですが、使用ミュージシャンをざっと思いつくまま挙げますと、ポール・サイモン、リッチー・ヘブンス、ジョン・デンバー、パット・メセニー、国内では井上陽水、南こうせつなどミュージシャンとしては個性的な人が多いのも不思議な魅力です。
本日はD-55。
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まずは外観。 GIBSON,MARTINを見慣れた人にとっては艶やかな曲線美というよりもどことなく無骨な男らしさ。横浜の建造物に例えると(?)、GIBSON、MARTINが神奈川県庁(キング)、横浜税関(クイーン)ならGUILDは開港記念会館(ジャック)といったところでしょうか、凛とした美しさでございます。(なんのこっちゃ)
実際に触ってみます。
無骨な外観のイメージとは違い、ドレッドノートにしてはホールド感のよいボディ。いい意味で裏切ってくれます。ネックのグリップ感もスムーズなもの。ギブソンほど太くなく、こちらも扱いやすいものでギター全体は多少激しくストロークしても安定しています。さて、サウンドは表現するのが難しいですが、GIBSON、MARTINのどちらにも寄らない、独立した位置にいるサウンドでやや中音域が豊かなサウンドです。それほど色気は感じられないものの、弾き手の表現力によっては引き出せるポテンシャルがあり、懐の深さを持ったものです。この手のギターは経験的に申し上げて、ずっと使用しているとある日突然鳴り始めたり、自分が普段弾いているものと違うジャンルの曲をやらされたりするときに新発見があったりするタイプで飽きないものが多いです。
多くのアコースティックギターがGIBSON、MARTINをモチーフに作製されている昨今、 このどちらにも寄らない独自のサウンドが、永年にわたり音楽シーンに存在感を示しており、数々のミュージシャンがインスパイアされ創作意欲を掻き立てられたのでしょうか、何か心に小さい火をつけられるような気もします。
工場がどこであろうと守り続けた伝統のギルド・サウンドが健在なのにホッと胸をなでおろす次第です。(今回からGUILDは工場を変更し、USA製は先だってまでのTACOMAからハートフォードに工場を変更しています。)
さて、ギブソン、マーチンと比較したあとは、従来のギルドファンの方のため、工場の違いによる製品の差を感じるままに書いてみます。 まず手にとってのサウンドの違いは普通にストロークを弾き降ろすときにすでに表れており、正直申し上げますと第一印象はTACOMA工場製のほうが「解かり易い鳴りのよさ」を持っていました。全体的に派手さがあり、どちらかというと扱いやすい、ウケのよいサウンドといいましょうか、万人ウケするようなアピール力がありました。ギターとしてはそちらのほうがいいのかも知れませんが、GUILD製品としては軸がブレた。今となってはそんな印象です。
しかしながら、今回からのハートフォード製は言ってみればGUILDそのもの。イメージする無骨さ、懐の深さを良質な木材で構成したしっかりとした立ち位置。いろんなところを向いてギターを作っているのではなく、伝統回帰に向かって造っている、昔のGUILDに再び戻る、無骨なブランドを守る、そう、GUILDはGUILDで迷わず行く。そんな潔さを感じるギターです。対峙するとき、何かを音で表現したくなる、そんなサムシングを持ったギター。
くれぐれも食わず嫌いなどなさらぬよう、お時間のありますときにご来店いただき体感してみて下さい。
ではまた。
by MODA
- 2011.10.16 Sunday