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この記事は2009.08.11 Tuesdayに書かれたものです。

Vol.3 Fender MUSTANG BLUE 1966

      


1964年、デュオ・ソニックに当時の最新式トレモロ・アーム・ユニット“ダイナミック・ヴィブラート”を搭載し、FENDER社がビギナー向けに「高級機種JAZZ MASTERのトレモロ・アーム感覚を」と力を注いで開発したモデル“MUSTANG”…。この日本人には馴染みが深い“じゃじゃ馬”を3回目に取り上げてみたいと思います。

やはりムスタングと言えばコチラ、ダイナミック・ヴィブラートです。基本原理は確かにジャズ・マスター(ジャガー)と同じで、弦を止めているテールピース側を作動させてブリッジ本体が前後に揺れる構造です。しかもジャズマスター(ジャガー)ではふたつに分かれていたユニット・パーツがひとつにまとめられていて、ブリッジ本体はジャズマスター(ジャガー)と互換性があるものが使われているあたり、この合理性と機能性を併せ持った設計はまさに「天才!」としか言い様がありません。恐るべしレオ・フェンダー!!

さて、これが横から写した画像です。ダイナミック・ヴィブラートも年式によってテンション感が違ってくるのですが、コチラの年代(66年頃まで)が一番テンションが固く、ゆえにテールピースが後ろにふんぞり返ったセッティングになります(010や009から始まるゲージを張ると)。もともと70年代最初までのFENDERギターには3弦巻弦の太い弦が新品状態で張ってあったわけですが、それはムスタングも例外でなかったわけで、そう考えるとこのバネの強さは納得出来ますね。

そしてテールピースのスタッドに掛かるバネの強さはその位置で2段階に設定が可能になっています。写真の指を指している場所にご注目下さい。
そんなわけですので、この時期のダイナミック・ヴィブラートはアーミングした時の音程の可変幅も60年代後半からのそれより大きくなります。まさにアーミングをしている姿がダイナミックとなるわけですねー(笑)。


そういえば話は飛びますが、カート・コバーンの有名なエピソードで、ムスタングの弦高を上げ下げするのにいちいちブリッジ本体をギターからはずして、裏から弦高調整用の芋ネジを手で回していたというのがありますね。すごい根性です(汗)。正解はサドル両脇の膨らんでるところに小さな穴が開いているのですが、そこに6角レンチを差し込んで調整するです。
カート・コバーンのやり方は左写真をご参照下さい(笑)。

ちなみにサイド・ポジション・マークは69年までのローズとメイプルの間にパーロイドが埋め込まれたタイプ。ラッカー塗装とも相まってこのあたりにヴィンテージらしさというものが醸し出されているわけです。

次はヘッドです。
コチラのギターの場合、65年DATEのネック&ポットに66年DATEのピックアップが載っている為、66年出荷と判断して66年製と言っておりますが、この年代に多いのがコチラもそうですがスラブネックです。ストラトの場合ですとスラブなだけで「有難い」気持ちになりますが(苦笑)、ムスタングの場合にはラウンドとスラブで相場価格が変わるものではありません。
ただ多少サウンドに影響するのは確かでしょう。
でも何故スラブが存在したのか??このあたりの事情にお詳しい方がいらっしゃったら教えて頂きたいです。

また、“MUSTANG”という文字が走っているのが特徴的で、これは字体が変わりつつ、70年代中盤まで続く仕様ですね。野生馬、じゃじゃ馬、ボーイズレーサー??ミラージュ・ターボ???(古過ぎっ!!苦笑)
形容はいろいろありますが、要するにフロイドローズ搭載のストラトやソロイスト系ギターが大排気量のF1系スポーツカーだとしたら、こちらは小排気量のラリー車的と申しますか、草原のワインディング・ロードを小気味よくドリフトさせながら曲がる感じが想像出来、その辺の感覚が現在の若者をも虜にする魅力かと思われます。
カワカッコイイ…。偉そうでないけど速い。みたいな…。違う???(汗)

そして細かいことですがヘッドには“OFF SET CONTOUR BODY”のデカールもまだ貼ってあります。この後の年代になると入れられなくなるのですが、あった方がヘッドが締まる気がするのは私だけ??まあ、サウンドには全く関係ない話なんですが(苦笑)。
そしてニッケルメッキの“F-KEY”と呼ばれるペグですが、この頃はクルーソン製のF-KEYプラペグが付いております(70年途中からシャーラー製、クロームメッキ)。このプラも“MUSTANG”の雰囲気作りにいい味を出してるわけですね。

ネックの話が出たところでご覧頂きましょう。コチラ、もう以前ストラトのお話をさせて頂いた時に触れましたネックDATEです。左からモデルナンバー、月、年、ネックシェイプとなり、コチラはスタンダートのBネックです。
そういえばムスタング使いで有名であるチャーさんが以前、ムスタングには雄と雌がいると何かでおっしゃっておられましたが、ネックシェイプのことを指しておられたのでしょうか??気になるところではあります(笑)。

そしてネックポケットです。この頃のFENDER MUSTANG純正の厚いシムが入っています。このシムによってネックに角度を付け、ブリッジの高さを上げているわけですが、ギターの体に悪そうなのは言うまでもありません(汗)。

実はこのあたりの調整というのが、ムスタングというギターを活かしたり殺したりしてしまう肝心な部分です。
それにしても、当時はこれくらい作りがラフなものだったんですねー。

だって所詮エレキ・ギターですから。しかもビギナー用の(苦笑)。

ヴォリュームとトーンのノブは70年代中盤までコチラのジャズべタイプが付いており、途中からストラトタイプの黒に変わります。やはりジャズベタイプの方が質感的にGOODではあります。
そしてPOTですが、コンデンサー&ジャック共にオリジナルであると判断できました。実は66年製のPOTは以降のFENDER製品にはよく付いています。66年にたぶんモノを大量に仕入れてその後工場でずっと流用していたというのが定説です。なので70年代のギター&ベースに66年製のPOTが付いていてもそれはアリなんですね。
当時はこれらのギター&ベースが数十年経過して価値が上がるなんてことはFENDER社の誰もが想像すら出来なかったでしょうから。この間からこればかり言ってます(苦笑)。

さあ、話も佳境となりましたが、コチラがピックアップです。フロントとリアと配線材の色が違うのがこの頃の特徴であり、巻数を変えて出力的なバランスをとっているわけですね。
ちなみにコチラのギターではないのですが、以前測定したときに黄色いワイヤーの方が6.21kΩで白いワイヤーの方が5.55kΩという結果でした。いずれにせよ出力があるピックアップではないです。
ただこのあたりの発想は後のリプレイスメント・ピックアップのフロント、ミドル、リア用といった考え方のさきがけといった感じでオモシロイです。
PUキャビティーのシールドも高級機種、ジャガーやジャズマスターと同様に金属のシールド盤が貼られており、決してビギナー向けとか、スチューデントモデルだからといって手を抜いていないところにFENDER社がマーケティング的にこのギターに賭けていた気合を感じますっ

まとめ
70年代後半、FENDER社に「日本では何でこんなにムスタングが売れるのだ??」と不思議がられたFENDER MUSTANGであるのですが、理由はシニアの方ならお解かりの様に日本の某大御所ギタリストが広めたわけですね。私なんかも実は当時買ってしまった人間です
それはそうと、逆に今現在も某大人気アニメーションでジャパン製のムスタングが使われていたり、また別の映画で主人公が使用したりと、日本人には何故か縁が深い“MUSTANG”!!

この夏、絶対に来てますっ(笑)。


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